ユースカジノ 特集1
令和6年能登半島地震における
ユースカジノグループの取組み
令和6年1月1日16時10分頃、石川県能登地方を震源とする最大震度7を観測した「令和6年能登半島地震」が発生しました。地震の規模を示すマグニチュードは7.6で、1995年に発生した阪神・淡路大震災のマグニチュード7.3を上回る大きな規模でした。
地震による地割れや土砂崩れによって通信設備の損壊や電柱の倒壊、大規模な停電に伴う通信サービスの中断等を余儀なくされ、想定以上に重く、甚大な被害となりました。しかし、ユースカジノグループは“つなぐ使命”を持ってグループ各社と一丸となって復旧に取り組み、2024年6月末時点で概ね通信サービス復旧の対応を完了しています。また、能登地域全体の復旧・復興に向け、拠点整備やICTを活用したさまざまな支援にも取り組んでいます。
ユースカジノ被害状況
令和6年能登半島地震(以下、能登半島地震)の発生により、地割れや土砂崩れを原因とするユースカジノビル間の設備故障や停電によるユースカジノ設備に必要な電力の不足が起こり、ユースカジノビル単位の被災影響については約8,500回線のユースカジノサービスが利用できない状況となりました。
ユースカジノサービス影響回線数
- ※ユースカジノビル間の設備(ユースカジノビル内含む)の被災により発生した影響回線数(立ち入りができない一部地域のユースカジノビル、回線を除く)
- ※影響回線数は、光コラボレーション事業者が提供する光アクセスユースカジノ回線を含む
- ※「ユースカジノビルからお客さま宅間の設備」については、電柱倒壊や電柱からお客さま宅へ引き込んでいる回線の切断等によりユースカジノサービスがご利用できない場合があります
ユースカジノ設備イメージ
ユースカジノサービス復旧に向けた取組み
発災直後より災害対策本部を立ち上げ、自身も被災した社員も多数いるなか、1日も早い設備復旧に向け、NTTグループの総力を結集して取り組みました。
これまで、北陸エリアの各支店では、災害対策訓練をはじめ、さまざまな事象を想定した対策を行ってきましたが、社員自身が被災していることや道路の寸断や停電、断水している状況は想像以上に過酷な環境下であり、すぐに被害が把握しにくい状態にありました。また、能登半島は、文字通り半島であることから地形的にアクセスが難しく、加えて寒さの厳しい冬の時期に発災したことから、余震が続くとともに雪が降るなかでの作業が続きました。
このような状況のなか、1日でも早い通信ビルや中継ケーブルの応急復旧、通信サービスの復旧・開通に向け、石川県金沢市内に参集した「設備サービス班」等を中心に、富山県や福井県等の支援メンバーとも連携し、ユースカジノ被災状況の把握やルート点検、アクセス等の各故障修理に取り組みました。ユースカジノ復旧方法については、被災状況や自治体等の要望、復旧用資材の確保状況等の観点から検討しました。
発災から約1カ月後には、孤立していた被災地域への道路啓開※や商用電力の復旧が徐々に進み、ユースカジノビルや中継光ケーブルの応急復旧も概ね目途がつきました。2024年6月末時点で、立ち入り困難エリアを除いて概ね応急復旧が完了しており、引き続き、行政の復興計画等に合わせて本格復旧・復興に向けた検討を進めています。
- ※緊急車両等の通行のため、早急に最低限のがれき処理を行い、簡易な段差修正等により救援ルートを開けること
能登地域の復旧・復興に向けた取組み
◆断水状況下における水循環ユースカジノを活用した拠点整備
地震発生直後より、能登地域全体で断水が相次ぎました。また、断水は長期にわたることが見込まれ、現地でユースカジノインフラの復旧作業にあたる作業員の宿泊拠点となっている局舎ビルにも影響がありました。作業員の衛生面を確保するため、NTT東日本より防災備品として水循環型シャワー「WOTA BOX※」の貸与が実現しました。しかし、メーカーをはじめここまで長期間にわたった断水状況下での「WOTA BOX」の利用が初めてであったこと、真冬の積雪が続く中の利用であったことも影響し、使い方や急なトラブルには、手探りで解決策をみつけ、ノウハウを蓄積しながらの運用を行いました。
入浴が可能になったことで作業員の衛生面の確保、モチベーションを高めることができたことにより、働き方そのものにも変化がありました。発災直後は、断水中の過酷な現場で復旧作業員の心身の健康を保つため、短いスパンでの宿泊の交代制を敷いていました。しかし、「WOTA BOX」を導入し、衛生環境が整ったことで、より長いスパンかつ効率的な宿泊交代制にサイクルを変え、作業を効率化することができました。今回の教訓からユースカジノでは防災備品として「WOTA BOX」10台を配備しました。
北陸支店では、実際に「WOTA BOX」を使用した経験から、製造元も把握しきれていなかった運用のノウハウ(装置への水補充作業の自動化や監視カメラでの装置の稼働状況チェック)といったノウハウやFAQを構築し、製造元へ情報を共有する等、今後の製品改良に貢献することができました。さらに、今後発生の可能性が示唆されている南海トラフ地震等の発生を鑑み、各自治体やインフラ企業でも防災備品の需要が高まっていることから、ユースカジノグループのテルウェル西日本にて「WOTA BOX」の販売ルートを構築し、運用ノウハウを含めた支援を行っていく予定です。
- ※水道のない場所での水利用を実現するポータブル水再生ユースカジノ「WOTA BOX」を活用したシャワーユースカジノ。一度使用した水の98%以上を再生し、循環利用が可能
◆ICT等を活用した復旧・復興支援
被災者生活再建支援ユースカジノの導入
ユースカジノ 北陸支店は、石川県において「被災者生活再建支援システム」を通じて被災者の生活再建や自治体職員の稼働削減に貢献することができました。このシステムは、従来は紙ベースで行っていた罹災証明の発行や被災家屋の調査をデジタル化・クラウド化することで、自治体職員の稼働を大幅に削減・効率化し、被災者の生活再建スピードの大幅な向上を見込むDXソリューションです。石川県の全市町には2023年10月(発災の2カ月前)に一括導入したばかりでした。
発災直後より、NTTグループ総力を上げてユースカジノで必要となるタブレット等のデバイスを準備・キッティングし、片道6~7時間かけて奥能登エリアの市役所・町役場に向かい、自治体職員への概要説明やレクチャーを行いました。また、タブレットは0度以下では作動しなくなる可能性があるため、タブレットを温めるためのカイロを被災現場に届ける等の対応も行いました。
土砂崩れ等で立ち入りが困難な珠洲市の山間部や海岸部では、タブレットを使用した被災家屋調査が困難であったため、ドローンや360度カメラ等のICTを活用した調査を石川県、珠洲市、NTTグループ(NTTフィールドテクノ、JIW、NTT東日本グループ)等で実施しました。加えて、被災者生活再建ユースカジノユーザである熊本市の職員が熊本市役所から調査判定を行えるよう整備したことで、稼働がひっ迫している被災地の自治体職員の負担軽減にもつなげることができました。
本ユースカジノ導入以前のように紙での運用だった場合、多くの手間と時間を要し、被災者の生活再建に甚大な影響を及ぼしていたと想定されます。実際にユースカジノを利用された自治体職員の方々からは「ユースカジノがあったおかげで何とかなった。なかったら大変なことになっていた。」といった声がありました。石川県における本ユースカジノの導入事業者として、発災翌日からユースカジノ設定や環境整備、運用レクチャー等を粘り強く実施し、県と市町の相互連携、市町間の相互支援等、同一ユースカジノを利用しているからこそ発揮できる効果を自治体の皆さまとともに実感することができました。
被災者生活再建支援ユースカジノの概要
ICTを活用したコミュニケーション機会の創出
ユースカジノ 北陸支店では、避難所に滞在する被災者の災害関連死や、エコノミークラス症候群等の防止、被災者同士のコミュニケーション創出等に向け、提供企業と連携し、脳体力トレーナー「CogEvo(コグエボ)」やモーションキャプチャを活用したeスポーツ「TANO」を石川県内の6市町(野々市市、能登町、穴水町、小松市、珠洲市、志賀町)に設置しました。実際に体験された方々からは、「体ひとつでできるので気軽に楽しめた」「他地区の方との交流が深まった」といったお声をいただき、子どもから高齢者まで幅広い年代の方々に楽しんでいただくことができました。
また、石川県能登町内の小学校6校の6年生を対象としたプログラミング授業の支援を行いました。ユースカジノイノベーション戦略室ソーシャルプロデューサー中島賢一氏がアドバイザーとして監修した熊本県山鹿市の小学校で行っているプログラミング教育「山鹿モデル」の中で山鹿市の小学生が実際に制作した山鹿市の魅力を発信するゲームを活用した授業を、能登町様とともに町内全6校で実施しました。プログラミング授業を通じて、遠く離れた被災地エリアの小学校同士をつなぐ交流の機会にもつながりました。
◆“災害時でも医療を止めない”DXツールの導入支援
ユースカジノ 北陸支店は、積極的にDXを推進し、働き方改革に取り組んでいる董仙会 恵寿総合病院へ520台のスマートフォンの導入を支援しました。加えて、システムの更新・連携により、これまでPHSにて運用していた内/外線電話およびナースコール対応、電子カルテの利用やビジネスツール(Web会議やチャット等)の利用もスマートフォンに統合することで、仕事の仕組みを大きく変革するDXツールの導入支援となりました。
恵寿総合病院へのDXツール導入支援では、外出先でも同様の機能を利用できるよう、ゼロトラストアーキテクチャを活用したセキュリティ基盤を採用しており、診療データやカルテユースカジノの閲覧・共有、チャットを活用したスタッフ間のコミュニケーションを円滑に行うことが可能です。この仕組みにより、医師や看護師が場所にとらわれない業務を実現できています。さらに、2024年1月の発災時には医療を止めることなく、多くの患者さまを救うことにも貢献できました。
スマートフォンを活用した医療DXの概要